統合失調症(1) 症状を無くすことがゴールではありません | 福岡県太宰府市の心療内科・精神科『くすの木クリニック』

統合失調症(1) 症状を無くすことがゴールではありません

くすの木「こころ」通信

日々の診療でよく耳にする言葉の一つに『妄想』があります。
皆さんが何気なく日常的に口にしている『妄想』という言葉は、おそらく「いかがわしい考えや空想」という意味で使われているのだと思いますが、精神医学における『妄想』は「その文化において共有されない誤った確信」を意味します。
随分と意味が違いますよね。

 

その妄想を呈する代表的な精神疾患に統合失調症があります。
妄想が強固な場合は容易に訂正ができません。
妄想を持っている本人からすれば妄想ではなく事実だ(と思い込んでいる)からです。
当然、自分自身が病気ではないと思っていますので[これを“病識がない”と言います]、それをむやみに否定するのは好ましい対応とは言えません。
正面に向かって対応すると「攻撃」と思われて反撃される可能性があるため、横に並ぶようにして関わることが適切です。

 

この妄想に対する治療ですが、今は薬物療法が大きな効果を上げるようになってきました。
急性期の対応が適切であれば、症状をかなり軽減することができます。
また、妄想と並んで統合失調症の主症状の一つである幻聴も、薬物療法で一定程度の改善を得ることができます。
ただ、完全に消失させることは実は困難であり、症状が残存することが少なくありません。
だからと言って社会生活が送れないかというと、それは間違いです。
「自分は病気であり、幻聴や妄想は病気によって自分だけが感じている症状であって現実ではない」ということが理解できるようになれば、多少の症状が残っていても社会生活は可能です。
一方で、症状が残存することで生活リズムが崩れやすく、一旦崩れたリズムを取り戻すのはなかなか容易でないという問題もあります。

 

そのため、こういった疾患教育や生活リズムの形成ができる場所が必要になります。
当院では精神科デイケアを開設しており、これまで多くの方々のサポートを行ってまいりました。
プログラムの中で様々な知識や経験を身につけられるだけでなく、『通う』という行為そのものが必然的に生活リズムを整えることにも繋がります。
また、仲間や職員と接することで思考に現実味が出てきますし、通所している方に同居している御家族がいらっしゃる場合は御家族の負担の減少にもなります。

 

日々の生活の中でプラスと感じられる何かがあることを患者さん自身が自覚できるよう、これからもクリニック・デイケアが両輪となって邁進していきたいと思います。
御興味のある方はぜひお問い合わせください。

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