ここ数年、テレビや雑誌などで発達障害をテーマにしたものをよく見かけます。また、インターネットなどでチェックリストが挙げられています。受診される方の中にも「ネットで読んでたら自分もそうなのかもしれないと思って…」とおっしゃられることが少なくありません。もちろん、そのようなご意見が診察をする際の助けになることがあります。
しかし、このチェックリストが必ずしも正しいとは限らないのです。
特定の項目を指して、「これがあるから自分はADHD(注意欠陥多動性障害)だ」と、自分で信じ込んでしまっている方がいらっしゃいます。
また、「たくさんのチェックがついたから、自分は発達障害だ」と決めつけてしまう方も時々みえられます。
実は、チェックがたくさんつく人は世の中に大勢いますし、リストによっては私自身もたくさん当てはまることがあります。
項目を見て思い当たる点が多くても必ずしも発達障害とは限りませんので、自己判断は避け、悩みや不安があれば医師の診察を受けることをお勧めいたします。
その発達障害、私は生まれつきの神経発達の『かたより』と考えています。
その人の人間性や知能の問題ではなく、社会的に上手に生活できている人もたくさんいます。
他の人よりちょっと不得意なところは得意になれないまでも上手にカバーして、そして、キラリと輝く得意な物事はもっと伸ばして…発達障害であろうがなかろうが、目指すべき方向は同じだと思います。
そのため特別な治療というものはなく、サポートチームの一員として、一緒に成長しけるように関わっていくことが医療者としての基本的な姿勢だと捉えています。
発達障害に限らず、こころの病気に関しては、社会生活や家庭生活の中で上手くいかないことがあるから医療機関に受診することになるのだと思います。
どんなこころの病気でも、自分自身の特徴を知り、それを活かせるようにすることが大切であり、受診される方々そして私達がお互いに気付き学び合う形で診療を進めています。
苦しくなった時、つらい時にはぜひご相談ください。
苦しさ、つらさから抜け出すためのお手伝いができるかもしれません。