眠れない時、皆様はどのような対応をされますか?
「お酒を飲んでから布団に入ります」という方もいらっしゃると思います。
寝る前にお酒を飲む習慣は何も日本に限ったことではなく、海外(英語圏)でも寝る前に飲むお酒を“ナイトキャップ”と呼び、寝酒を楽しむ方は少なくありません。
しかし、2002年にオーストリア、ベルギー、ブラジル、中国、ドイツ、日本、ポルトガル、スロバキア、南アフリカ、スペインの10か国の企業労働者35,327名を対象に不眠解消の対処行動について調査した結果では、「医師に相談する」「カフェイン飲料を控えた」という選択肢を選んだ割合は日本が最も低く、「アルコールを飲んだ」を選んだ割合は日本が第1位でした。
つまり、日本では医療機関に受診するよりお酒の力を借りる方が圧倒的に多いということです。
確かに、アルコールは寝つきそのものを良くする効果がありますが、良いことばかりではありません。
お酒に頼って眠ることの問題点をお示しします。
【酔いが醒めてくると睡眠が浅くなり、中途覚醒の原因となる】
アルコールの直接的な作用は3時間程度で効果が切れます。
アルコールは体内の水分が奪うのでのどが渇きやすくなり、また、利尿作用からトイレに行きたくなることから、睡眠途中で目が覚めることが増加します。
【深い睡眠がとれなくなり(特に睡眠後半に)、熟眠感が欠如しがち】
睡眠の質が低下することで、起床後のパフォーマンスも低下することになります。
【連日飲酒しているうちに効果が減弱していく】
長期間アルコール摂取を継続することによって慣れが生じてしまい(これを耐性と言います)、同じ効果を得ようとすると飲酒量が増えていきます。
これが睡眠を全般的に悪化させ、場合によってはアルコール依存症へとつながります。
要するに、アルコールを睡眠改善目的で用いることは、睡眠の量も質も低下させるため、短期的にも長期的にも推奨されません。
むしろ、睡眠の効果を十分に得ようとするのであれば、アルコールは避けた方が良いということになります。
睡眠に関して何かしらの問題が続いている方は、安易にお酒に頼らず医療機関を受診することをお勧めします。
不眠になる原因は様々なものがありますので、ご自身で判断がつかない時はお医者さんに相談してみるのも一つの手です。